ごあいさつ

Online Game Research Laboratory(オンラインゲーム調査研究所)はオンラインゲームと人の付き合い方を考える研究機関として2003年に活動を開始いたしました。オンライン上で行った調査の結果を分析、考察し、学会やマスコミ、ホームページを通じて多くのオンラインゲームプレーヤー、ゲーム製作者、オンラインゲームサービスを提供する企業、研究者の皆様方に情報を還元して参りました。
インターネット環境の整備にともない、オンラインゲームのプレーヤーは増加傾向にあります。普及が早かった韓国や中国では、長時間のプレイでエコノミー症候群となり命を落とされる方や、ゲーム内でのコミュニケーションの齟齬から傷害事件が起こるなど、様々な問題がマスコミによって取り上げられております。当研究所での研究も、オンラインゲームとうまく付き合うことができず困難を抱えてしまった方と、実際に関わることから始まりました。
こういった問題は、オンラインゲームというゲームの問題なのでしょうか。私はその特性を理解し、ゲーム自体を見直す必要も出てくるかもしれないとは思いますが、根本的にはオンラインゲームというツール(道具)を使用する人の問題だと考えております。よって、当研究所は「オンラインゲームを使用する、創造する、もしくは提供する、人の問題として捉え、ひとつの道具としてのオンラインゲームとの付き合い方を、様々な側面から調査研究する研究機関」として、研究のための研究ではなく、皆様に還元できる、役に立つ研究を目指して活動していきます。
Online Game Research Laboratoryでは研究と情報提供を主な活動にしております。まず研究については、少しでも新しい、より良いオンラインゲームとの付き合い方をご提案するため、しっかりとした基礎研究を積み重ねることが第一目標だと考えております。情報提供については、オンラインゲームに関わる方々はもちろんのこと、最新のオンラインゲームに関する研究成果を、学会発表や学会誌への学術論文投稿により各分野の研究者にも問題を認識していただけるよう努力して参ります。さらに研究が進めば、研究結果を活かした相談活動や予防啓発活動にも力を入れていきたいと考えております。
研究者として、より一層の努力をし、オンラインゲームとうまく付き合うためのヒントを、ひとつでも多く見出せるよう力を尽くす所存です。至らない部分もあるかとは思いますが、ご支援ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

平成21年4月(2009年)
オンラインゲーム調査研究所
代表 平井大祐


スタッフプロフィール

平井大祐

臨床心理士 公認心理師 精神保健福祉士 産業カウンセラー

大学在学時に不登校の児童生徒への訪問カウンセリング活動を行い、コンシューマーゲームを使った遊びを通して子どもと関係性を築く。大学院に進学後、対人関係に苦手意識のある子どもとの関わりにおけるゲームの活用を研究し始める。しかし、様々な要因からオンラインゲームと上手く付き合えずに困難を抱えてしまった学生と出会う。この出会いにより先の研究内容を一時保留し、オンラインゲームがその使用者に与える影響を光と影の両面から研究し始める。大学院修了後は研究成果をネット上でフィードバックし、さらに研究、考察を進める。その一方で児童養護施設、精神保健福祉センターでカウンセリングやグループワークを担当。現在は企業に所属し、働く方々へのカウンセリング、メンタルヘルス研修等を行っている。

葛西真記子 研究顧問

臨床心理士 公認心理師 鳴門教育大学(臨床心理士養成コース)教授

アメリカで博士号を取得後、鳴門教育大学で教鞭をとりながら、教育・研究・実践を行う。専門は、精神分析的カウンセリング、自己心理学、Sexual Minority、Cross-Cultural Counseling、そしてインターネット・携帯依存。小・中・高等学校でのスクールカウンセラーとして勤務し、大学の心理・教育相談室でもカウンセリングを実践。インターネットや携帯への依存に関する相談も担当している。

海面敬

臨床心理士 公認心理師 産業カウンセラー 地方公務員

鳴門教育大学大学院在学中、引きこもり状態にある人や、その親へのサポート活動を行いながら、オンラインゲームに熱中するあまり現実との関わりが希薄になりがちな人や、過去そうであった人達とオンラインゲームを通じて関わりを持つ。これら関わりの中で、オンラインゲーム使用による引きこもりからの回復に関して、心身健康状態を含めて研究を開始し、研究成果をインターネットで公開する。徳島県の精神科で勤務し、カウンセリングや心理検査、アウトリーチ事業等を行った後、地方公務員として活躍中。